マンガ『進撃の巨人1-4巻』海外の反応「シガンシナ陥落&トロスト区攻防戦編」

マンガ『進撃の巨人1-4巻』海外の反応「シガンシナ陥落&トロスト区攻防戦編」

アニメ「進撃の巨人」シーズン3放映開始まであと1月半! 2018年夏アニメの中では「オーバーロードⅢ」と並んで楽しみな作品です。そんな中、内容の振り返りも兼ねてマンガ版を読み直していると、またもや目頭が熱く…

この熱い想いを胸にしかし頭はクールにマンガ「進撃の巨人」1-4巻「シガンシナ陥落&トロスト区攻防戦編」に対する海外の評価と感想をまとめました!

コミック情報

『進撃の巨人』1-4巻 日米アマゾンレビュースコア推移

「進撃の巨人」1-4巻 Amazonレビュースコア

一貫して、アメリカのほうが高評価なのに加えて、レビュー数においても、日本の420件に対して、米アマゾンではなんと627件。本家日本を上回る読者レビューの数です。この数値を見るだけでもいかにアメリカで「進撃の巨人」が驚きを持って受け止められたかが伺えます。

※レビューに含まれるあらすじや重複する箇所は一部省略して翻訳しています。

マンガ『進撃の巨人』1-4巻「シガンシナ陥落&トロスト区攻防戦編」に対する海外の反応

アメリカAmazon」とソーシャル読書サイト「goodreads」より
§1巻
Kindle Customer
shingeki

馬鹿みたいな英語タイトル(※「ATTACK on TITAN」)が付けられているが、タイトルに騙されてはいけない。ルネサンス風スチームパンク的世界観にホラー要素が加わったミステリー・アクション大作だ。これまでの日本マンガとは一線を画す独特の絵柄。キャラクターではなくシナリオ重視。そしてファンサービスとは無縁のマンガだ。(良い意味で)

表紙絵に描かれた人体解剖図から飛び出たかのような超大型巨人からも想像できるように、このマンガには生々しいゴア表現が出てくる。しかも人間たちは解剖学的に正しく殺されていく。決して子ども向きの作品ではない。重々しい台詞に難解なストーリーは大人向けであり、読者に残酷な現実を突きつける。

一人一冊しかマンガが読めない世界であれば、間違いなくこの「進撃の巨人」を選ぶだろう。主人公の苦悩と世界の謎が私を惹きつけて止まない。マンガを読んでこのような気持ちになったのは、岩明均「寄生獣」と「ヒストリエ」、三浦建太郎「ベルセルク」以外に私は知らない。

mr loser82
日本版「ウォーキング・デッド」では断じて無い。しかし読むに値する作品

エンターテイメント満載の独創的なプロット重視な物語。物語展開は時にたどたどしい(唐突な回想シーンなど)が、物語体験を損なうほどではない。

スタイリッシュなアートスタイル(ダイナミックな陰影や動線(force lines)の重ね具合)がホラーテイストにマッチしており、グロテスクな巨人たちを一層引き立てる。しかし欠点が無いこともない。キャラクターの判別(日本のマンガの多くが同じような問題を抱えている)や等身の比率が明らかに狂っている箇所や動きの流れがスムーズでないところがあった。こうした点も考慮し、星5つではなく4つとした。

友人の勧め(日本版「ウォーキング・デッド」という宣伝文句に釣られて)で購入したのだが、読んだ者なら分かる通り、断じて「ウォーキング・デッド」ではない(原作コミックスを全巻揃えた私が断言する)。だからといって「進撃の巨人」が読むに値しないと言っているわけではない。ロバート・カークマンやチャーリー・アドラードによる傑作とはまた異なる、諫山創その人だからこそ創り出せた傑作、「進撃の巨人」が読者を待ち受けているのは間違いない

§2巻
Sarah

「ごめんなさい。エレン・・・私はもう・・・あきらめない。死んでしまったらもう・・・・・・あなたのことを思い出すことさえできない。だから――何としてでも勝つ! 何としてでも生きる!! 」
“I'm sorry Eren. . . I can't. . . Give up. If I die now. . . I won't even be able to remember you. So no matter what. . . I'm going to win! Whatever I have to do, I'm going to live!!”

※参考画像

超絶に感動したセリフ!

Bradley

またもやアクションに次ぐアクション。そして驚きの展開! 「エヴァンゲリオン」を思い出した。1巻に続いて傑作。

Lottie Eve

2巻を読み終え、私の進撃の巨人愛は確固たるものになった。愛すべき登場人物(特にハンパなくかっこいい(kick butt)ミカサ・アッカーマン)や物語、テーマ、絵、どれをとっても1巻よりも質が上がっている。

ミカサというキャクターに焦点が当てられている。読み応えのあるキャラだ。特に彼女の肉体的そして精神的な強さに惹かれた。この残酷な世界にあってはミカサにとってはエレンがすべて。エレンの死を聞かされたミカサが一体どんな反応をするのか考えただけでも辛いかったし、そのシーンを読むのが怖かった。しかしミカサはというと、それでも顔上げて戦うことを選んだ。当然心は引き裂かれたままだ。愛するものを失って傷つかない人間なんていない。しかし彼女は自らがこの世界に存在する意味を失いかけてもなお諦めなかった。感動の連続。

1巻、2巻共にキャクターたちの感情がありありと伝わってきた。諫山創は絵とセリフ、そしてアクションを効果的に使って読者に感動を届けることに長けている。だからこそ私は「進撃の巨人」に恋をしてしまったのだ。

§3巻
Huang, Chang-wei
マンガ初体験

マンガやアニメに興味を持ったことがない私は、人生で一度もマンガを読んだり、アニメを見たことはなかった。しかし「進撃の巨人」に完全にヤラれてしまった。ここ3年間で最高のエンターテイメント作品だった。(映画、TVドラマ、小説などを含めても)

心からこの作品を勧めます。

Nerdish Mum

もう少し絵が上手ければなあと読み返すたびに思う。誰が誰だが、何が起こってるのかが分からなくなるのが唯一の不満。それ以外は何の不満もなし。エレンの父親など謎が謎を呼ぶストーリーにどっぷりハマっています。

Aleksa Isabel Litan

またしても良作。何度読んでも読み足りない。

ただ臆病なだけだったアルミンが知性溢れる勇敢な兵士へと成長を遂げる姿は読んでいて清々しい。お気に入りのキャラになりそう。(でも私のナンバーワンはリヴァイ兵長で揺るぎないとは思うけどね 🙂 )

絵に不満があるのは相変わらずだが、だんだんと慣れてきたとも言える。ありのままを受け入れるのだ。とはいえ、絵が上達してくれると嬉しいです。

Kit

物語展開とキャラクターがどんどん良くなってる。エレンの巨人化の謎も気になる。この世界に脇役はいない。訓練兵一人一人が個性的だ。中でもミカサが大好き。

アニメっぽくないところがこの作品の良いところだ。少年モノにありがちな「熱血™(Do My Best™)」や「命尽きるその時まで™(I Will Fight To My Last Breath™)」が無いとは言わないが、それでもグリム童話のオオカミよりも恐ろしい恐怖が登場人物たちを襲う。その描写は少年マンガでは決して見られないようなリアルさを持って描かれる。

今そこにある危機だけではなく、より大きな、社会的規模での人々の苦しみ(飢餓や人口調整)を描くことに作者が躊躇しないのもまたいい。次巻が楽しみだ。

§4巻
C. Derick Varn
不自然な回想シーン

訓練生時代のエピソードを描くことでキャラの深掘りができたが、回想シーンの挿入は唐突で、前後関係が掴みづらいところもあった。

特に納得いかないのが、登場人物の多くが少年少女で、しかも兵団の指揮官を除けば兵士たちの多くが訓練生と変わらぬ少年少女のように見えるところである。いくら諫山創が生み出した架空のディストピア世界とはいえ不自然だ。さらに続けさせてもらえば、キャラクターの描き分けが甘く(特に男キャラ)、見分けがつきにくい。

が、しかしである。自由の翼をまとまったリヴァイ兵長の登場シーンは鳥肌モノであった。

※参考画像

Connie

ここでは「進撃の巨人」が持つユーモアについて触れたい。

この4巻ではネットで流行したミーム(meme)が生まれた巻でもある。芋女(Potato Girl)サシャや「何だエレン?(What is it, Eren)」でお馴染みのジャン・キルシュタインなどが誕生した。マンガではなかなかお目にかかれないジャンの表情は秀逸だ。

※ ミームとなったジャンのセリフ「What is it, Eren?」
what is it eren エレンが立体機動装置を上手く扱えなかったことを皮肉るジャン・キルシュタイン。そしてその時、エレンに話しかけられて、「何だエレン」と答えた一コマです。

日本人の間では特段話題になりませんでしたが、海外ではジャンの絶妙な表情がなぜか外国人の琴線に触れたようで、改変ミームが一時流行したようです。代表的なものには以下があります。

1) what is eren1 2) what is eren2 3) what is eren 3 4) what is eren 4.5

海外大手アニメ・マンガ紹介サイト「MyAnimeList(MAL)」より
  • シリーズ総合スコア:8.51/10(2018/06/13)
  • 総合レート投票者数:109486

destroyar0
評価:9/10(Feb 6, 2011)

マンガ「進撃の巨人」が日本のマンガ売上ランキングでトップに躍り出た。

まだ1巻しか発売されていないが、もうすでに私の心は奪われた。画力に問題があるのは確かだ。表情のバリエーションは豊富だが、キャラクターの描き分けに苦労している。そして余計な線が多く画面が「うるさく」感じられる。しかしそうした雑な線が、割けた口から見せる無数の歯を持つ人間離れしたおぞましく歪んだ巨人の絵になぜかマッチしている。

ありえないほどの強さを持った捕食者を前にした登場人物たちの恐怖の顔が見事に描かれる。想像してみてほしい。邪悪な笑みを浮かべた15メートル級の怪物じみた巨人を前にし食べられそうになった瞬間を。

このマンガは捕食者を前にした人間の本能的な恐怖心を刺激する。今日人類は、食物連鎖の頂点にいるのは事実である。しかしその序列が当たり前というわけではない。本質的に人間は弱いのである。故に人間という種としてたとえピラミッドの頂点にいようが、一個の人間としていざ捕食者の前に立たされれば、人はただ恐怖し無力さに絶望するだけである。

このようなテーマを扱ったマンガは他に類を見ない。

繰り返しになるが、画力不足という欠点を抱えているのは事実だ。しかし「進撃の巨人」1巻は諫山創のデビュー作である。作者の成長に期待しよう。

お薦めのマンガである。ぜひ読んでもらいたい。

rustylili
評価:10/10(Jul 1, 2011)

ちょうど4巻まで読んだところの感想です。確信を持って言えるのは、「進撃の巨人」は最高の漫画ということです。日本の漫画ランキングで1位を取ったのも納得の出来でした。

絵に関しては改善の余地はあるものの、ストーリーは申し分なく、誰でも100%楽しめる仕上がりになっています。(中には吐き気をもよおす方もいるかもしれませんが)

この作者から次巻が生み出されるのを楽しみにしています。

Jazze
評価:9/10(Mar 7, 2011)

MALの掲示板でこのマンガ「進撃の巨人」がプッシュされていたので、試しに読んでみた。どうせまたいつものありきたりな少年漫画だろうと思って読み始めてみると、あっという間に夢中になってしまった。そう、私の予想は良い意味で裏切られた。いち早くこの宝石のような漫画を見つけた人は本当に良い趣味をしている。まだ1巻を読み終わったばかりなのに、もう2巻目が待ち遠しくて仕方がない。だってあんな終わり方をされたら当然でしょ!

ストーリー:
期待膨らむサスペンスの連続で最高だ! ページをめくる手が止まらない(電子書籍なので正確にはフリックが止まらない)スリラー漫画である。話の展開は早くもなく遅くもなく、まさに心地の良い進み具合。章末に挿入される解説ページ(壁の建築術など)を読み飛ばす読者もいるかもしれないが、プロット上で重要な役割を担うかもしれないので熟読することをお勧めする。この新人漫画家は、自身が考案した設定を現実的な視点から検証しており、リアルさにも気を配っている。

絵:
他のレビューワーも指摘している通り、絵に関しては二流と言ってもいい出来だ。辛うじて漫画の体をなしている程度だ。人物の等身はまるでバランスが取れていない。強迫性障害(あるいは下手な絵を見るとまぶたが痙攣してしまうような人)を持つ人であれば、あまりの絵の下手さに我慢できなくなるかもしれない。しかし画力不足という致命的な欠点を抱えているにもかかわらず、不思議なことに漫画の魅力が一ミリも損なわれていないのだ。特に巨人の表現は見事である。気味が悪いほど恐ろしく読む者を恐怖に落とし入れる。登場人物たちが感じている恐怖が一コマ一コマからこちらに伝わってくる。奇形した歪んだ体を持つ巨人のデザインは恐ろしいほどの魅力にあふれている。

面白さ:
夜中に読んだかせいか、読み終わったら妙にハイテンションになってしまいすぐに寝付くことが出来なかった。また読み直すつもりだ。この漫画には他の人気漫画にはない魅力が詰まっている──食べられる恐怖、未知なる者への恐怖を味あわせてくれる。今まで漫画を読んでこのような恐怖を感じたことはなかった。絵が崩壊しているところも無きにしもあらずだが、それを補って余りある物語展開のおかげで次巻も期待するところである。現在3巻まで出ているようなので、すぐにでも続巻を購入する予定だ。

総評:
画力不足のため人物造形に難がある。しかし秀逸な物語は読者を掴んで離さない。「ジャンプ」向きではないという理由で週刊少年ジャンプでの掲載を断られたという話を耳にしたが、逆にこの漫画にとっては幸いであっただろう。「進撃の巨人」は少年向けではなく青年向けだからだ。ジャンプで連載していたら子供向けに改悪されていただろう。

画力を重視せず、プロット重視の漫画が好きなら、「進撃の巨人」は必読の一冊だ!

あとがき

※ ここからは海外の反応ではなく、管理人のあとがきになります。

『進撃の巨人』の英題「Attack on Titan」に関する考察【決着編?】

英語タイトル「Attack on Titan」は誤訳?

英語版発売当初から英語圏の読者の間で、英題「Attack on Titan」は誤訳ではないかと物議を醸してきました。そして今回、海外の反応を紹介するため各所のレビューを読んでいると、やはり英語タイトルに関する不満や指摘が見受けられました。

英語圏の掲示板にざっと目を通し、個人的にも考えた結果、日本語「進撃の巨人」を「Attack on Titan」としたのは明らかな誤訳だと思われます。

※ ただしタイトルというのは、時に「意味の正しさ」よりも、「インパクトや響き」に重きが置かれることもあります。そういった意味では、「Attack on Titan」はインパクトのあるタイトルではないでしょうか。

英語圏の人間の多くが「Attack on Titan」という英語から受ける印象は、「土星の衛星タイタンを攻撃」です。

「Attack on Titan」が誤訳である理由

1.「進撃の巨人」という日本語の解釈が英語では逆の意味になってしまっている

「進撃の巨人」という日本語が意味するところは、「進撃するのは巨人」であって、少なくとも「巨人が進撃される」のではないということです。しかし「Attack on Titan」では、「巨人(または土星の衛星タイタン)が進撃される」側になってしまいます。何故かと言うと、英語attack on ~ は「~への攻撃」、つまり「巨人への攻撃」という意味になるからです。

この英題「Attack on Titan」では、本来の日本語タイトルの意味「(人類に向けて)進撃する巨人」と真逆の意味になってしまっているのです。

 

※「進撃の巨人」を「エレンという巨人が別の巨人に向けて進撃する」という解釈もできないこともないですが、ここはタイトルの文字通りの解釈「(人類に向けて)進撃する巨人」を元に考察していきます。

そもそも原題が「進撃の巨人」ではなく「巨人の進撃」であれば、主語と述語の関係が分かりやすかったかもしれませんが、「進撃の巨人」のような奥深さや、独特の語感や響きが失われてしまいます。

※1巻発売時からの視点による考察です。22巻などで明らかになるタイトルの真の意味などは考慮していません。

2. 英語「Titan」は、「巨人」ではなく「土星の衛星タイタン」?

英語の名詞は単数形と複数形という「数」を決定しなければならないという英語の文法上の規則があります。この理由により誤訳になってしまっています。詳しくは下で解説します。

では正解の英題は?

ではどんな英題が適切だったかを考察していきたいと思います。ここからは私の完全なる個人的な意見です。

まずは、そもそも「進撃の巨人」という日本語は解釈の幅が広く、いろいろな意味に取れます。そこで「進撃」と「巨人」という2語に分けて考察していきます。

「進撃」

「進撃」という日本語を辞書で調べると「前進しながら攻撃する」という意味が載っています。しかし英語には「前進する」と「攻撃する」を1ワードで表現できる言葉がありません。なので「前進する」と「攻撃する」のどちらに焦点を合わせるかで英訳が変わってきます。

「前進する」を選べば、英語は「advance」が適訳でタイトルは「Advancing Titans」になります(※現に「進軍する」というニュアンスもある「advance」を推す外国人が多いです)

一方、漢字「撃」に焦点を当てれば、英語は「attack」になり、タイトルは「Attacking Titans」になります。

※ ここでの動詞ing形はいわゆる名詞を修飾する現在分詞で「~している、~する」という意味になります。直訳すると「前進する巨人」、「攻撃する巨人」という意味になります。

※ ofを使わない理由
「Advance/Attack of Titans」にしない理由は、誤読の可能性を減らすためです。「A of B」は日本語にすると「BのA」になりますが、英語「of」には主格関係以外にも、所有・目的関係・同格関係・材料・起源・原因などがあり、様々な解釈が可能になってしまいます。

一方、-ingを使えば、「主格関係(~するA)」という意味がはっきりします。

「巨人」

まずは、「巨人」に「Titan/Giant」のどちらを訳語に当てるかです。

両者とも「巨人」という意味を持ちますが、「Titan」には固有名詞としての意味もあります。ギリシャ神話に出てきた「巨人タイタン」と土星の衛星「タイタン」です。

誤解を避けるために、一つの意味しかない「Giant」の方が良いという考え方もできますが、「ジャイアント」という語は日本語でも英語でも使い古された言葉なのでチープな響きがして漫画のタイトルには相応しくないとも言えます。

一方神話に登場する「Titan」は、神話の巨人のイメージが作中に登場する巨人の恐ろしさを表現できるというメリットもありますが、上記で述べたように土星の衛星「タイタン」のような別の解釈の余地が出てしまいます。難しいところですが、個人的には誤読の恐れがなければ、「Titan」のほうに軍配が上がると思います。

しかし、ここで英語タイトル「Titan」のミスリードを生み出したポイントが出てきます。それが「数」の問題です。

日本語の名詞を英訳する際、翻訳者の頭を悩ませるのが名詞の「数」です。英語の名詞には「単数形」と「複数形(-s)」があり、両者は意味が大きく異なります。

単数形であれば「一個の個体、具体的な一つの存在」を指すのが普通です。一方、複数形であれば、文字通り「複数の名詞」(リンゴが3つなど)を指す場合と、さらには、「種類全体」(いわゆる総称用法)を意味する場合があります。

例えば、

I like lions.「ライオンが好きだ」

では、「ライオン(という動物の種)が好きである」という意味になります。

では「進撃の巨人」に当てはめて考えてみます。

「titan」という単数形を使えば、どうしても「一個体としての巨人」というニュアンスが出てしまい、無数の巨人に人類が襲われるというニュアンスが出ません。加えて固有名詞は複数形をとらないという文法規則から、単数形で表記してしまうと固有名詞である衛星「タイタン」という意味に取られてしまう可能性が高くなります。(これが、英語圏で正規タイトル「Attack on Titan」が「衛星タイタンへの攻撃」と誤読される原因になっている)

一方、「titans」という複数形であれば、「巨人という種全体」が「人類という種」を脅かすというニュアンスが出ます。作品の世界感にマッチしているのはこちらの方だと思います。

意味をはっきりと区別できる英語は実用的で便利でもありますが、曖昧さを残す日本語にも、曖昧さ故の表現の深みがあります。

つまり単数でも複数でもない「巨人」という表現は、「種全体としての巨人」という意味も表しつつ「一個体としての巨人」(エレンやアニなども含む)というニュアンスも同時に出せるのです。

結論

以上を踏まえつつ、海外勢の意見も参考にした結果、個人的な結論としては「進撃の巨人」にふさわしい英訳は「Advancing Titans」ではないかと思います。

"advancing"には、「前進する」という意味だけではなく、「進軍する」というニュアンスもあるので、邦題の「撃」という字の意味も含めることができます。

そして"titans"には、上でも述べたように、"giants"のような陳腐さが無く、複数形に加え、"advance"という動作を表す動詞によって修飾されることにより、無機物である衛星「タイタン」と誤読される恐れが少なく、生き物である「巨人」のイメージが喚起されやすくなります。以上の理由から「Advancing Titans」が英題として相応しいと結論付けました。

ここまで長々と考察してきましたが、すでに英題は「Attack on Titan」で決まっています。あくまでもこれは個人的な考察であって、誰かに「Advancing Titans」が正しい英訳だと押し付けて、下みたいに無理やり私の意見を食べさせるつもりはありません!

ソースは見つかりませんでしたが、そもそも作者の諫山創先生ご自身が英題が誤訳であることを承知していて、けどあえて「響きがカッコいい」からそのままにしている、とどこかのインタビューで述べたそうです。

ということであくまでこれは管理人の戯れ言ということでお願いします。🙇

 

***
以上となります。



次回、マンガ『進撃の巨人』」5-8巻「女型の巨人編」に対する海外の反応はこちら。

  • マンガ『進撃の巨人5-8巻』海外の反応「女型の巨人編」









  • コメント欄

    • Comments ( 6 )
    • Trackbacks ( 0 )
    1. By 名無しのファントムさん

      3期の予習も兼ねて自分も読み直してみようかな。
      英語noob勢なので、英語タイトルの話はあまり理解できなかったけど、アニメやマンガの英題の誤訳は多いって聞くね。

    2. By ファントム名無しさん

      素晴らしい記事をありがとう。
      続きも何卒…

      エルヴィン団長の「進めー!」とか「突撃ー!」あたりも
      「Advance!!!」ってなってた気が。
      「Advancing Titans」のほうが作品の趣旨にも合ってますよね。

    3. By 名無しのファントムさん

      とても興味深い記事です。
      (`・ω・´)ゞ今後共楽しみにさせていただきます。

    4. By 名無しのファントムさん

      タイトルの話が面白かったです。
      巨人を表す言葉が2択では辛いですね

    5. By 名無しのファントムさん

      素晴らしい翻訳記事ありがとうございます!

      タイトルについては翻訳する時点では色々と決まっていなかったこともあったと思うので
      仕方がないのかなという印象です

      あと今回の記事を読んで自分の意見を落としたいなあと思ったのですが
      管理人さんが原作をどこまで読んでいるのか分からないので何も言えない!とモゾモゾしちゃったので
      良ければ原作の○巻までは読んでるよ、といったことを記事の最後にでも付けておいてもらえると嬉しいです

    6. By 名無しのファントムさん

      作者の意図は不明だけど、作中では「進撃の巨人」が[spoiler]固有名詞として使われ[/spoiler]ている
      日本語タイトルも英語タイトルも、ネイティブからみるとちょっと違和感のある言葉だけど、あのドイツっぽい世界ではそれが普通、、そういう世界観なのかもね